特定技能

元技能実習生の特定技能への移行者数を予想してみました

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主力組の動向

2019年10月1日に技能実習機構が業務統計として職種別の実習生の人数を公表しましたので、特定技能に移行しうる実習生が何人いるのかが判明しました。

これにより、特定技能のマジョリティになるであろうといわれている元実習生の動向がある程度把握できるのではないか、特定技能への移行者数も予想できるのでは、と思い電卓をたたいてみました。

技能実習生の人数の推移

日本にいる外国人の数は、法務省の公表資料を見ると分かります。

企業単独型の技能実習は1年限りの研修として利用されることも多いので、ここでは団体監理型に注目します。

団体監理型の技能実習生の人数の推移は下表のとおりです。

技能実習1号 技能実習2号 技能実習3号
2015年 87,070 98,086
2016年 97,642 122,796
2017年 118,101 146,694 8
2018年 138,249 173,873 7,178

1号、2号とも右肩上がりで増加していることが分かります。

3号については導入が2017年11月1日ですし、2019年9月にルールが緩和されるまでは2号修了後必ず1か月以上母国に帰国しなければなりませんでした。したがって、2017年の3号がほぼ0というのは納得しやすいところです。

しかし、2018年末時点で技能実習3号ロ(団体監理型)で日本に在留する外国人が7,178人しかいないのはどうでしょう。意外に少ないな、という印象を持ちました。2017年末の2号が14万ですから、3号に移行する資格のある外国人は7万人くらいいたはずです。

3号移行対象職種が少ないのが原因かと思いましたがそうではなさそうです。現在2号移行対象職種が80職種144作業であるのに対し、3号移行対象職種は73職種129作業と大差ありません。

技能実習3号を監理できる一般監理団体が少ないのかとも思いましたが、そうでもなさそうです。一般監理団体は1277もあります。

そこで、実習生の立場になって考えてみました。2018年に技能実習3号に移行した外国人は、2015年に技能実習1号を開始した人だ、とざっくりいえます。

2015年に技能実習3号は存在しませんでしたから、2015年に技能実習1号を開始した外国人の頭には「3年間日本でがんばろう」ということしかなかったはずです。

実習の途中で2年間延長することもできるようになりましたが、だからといって当初の計画を即変更しようとする人はそれほどいないのだというのがここでの一応の結論としておきます。

2018年末3号技能実習生数の2015年末1号技能実習生に対する割合は8.2%です。

今年特定技能へ移行する資格を取得する2号技能実習生が技能実習を始めた2016年に特定技能は影も形もありませんでした。実習途中に就労期間が延長される制度変更があったという意味では技能実習3号追加も特定技能新設も同じです。

そこで、2019年に2号技能実習を修了し、特定技能へすぐに移行しようとする技能実習生の割合もおよそ10%程度ではないかと予想します。

2019年度に特定技能に在留資格を認められる外国人の数

上の推論をあてはめますと、2017年に技能実習を開始した外国人の約10%が2019年度に特定技能に移行するでしょう。特定産業分野別の予想人数は下表のとおりです。

産業分野 2017年1号実習計画許可件数  期間補正    (5分の12倍) 2016年1号実習計画許可件数(推計) 予想される移行者数
農業 3,215 7,716 6,889 688
漁業 81 194 173 17
建設 1,455 3,492 3,118 312
食品製造 4,584 11,001 9,823 982
製造業 4,757 11,416 10,194 1,019
自動車整備 97 233 208 21
ビルクリーニング 99 238 212 21
(合計) 14,288 34,290 30,617 3,060

1号実習計画

技能実習機構の業務統計より。

建設は「とび」など特定技能の対象外となる職種を除外しています。

製造業は素形材産業分野、産業機械製造業分野、電気電子情報関連産業分野の合算です。技能実習の職種と特定技能の産業分野の対応関係が1対1になっていないためです。例えば技能実習の「仕上げ」という職種からは、上記3分野いずれにも移行可能なので、3分野合算としない推計値が現実に移行可能な人数の3倍になってしまいます。

期間補正

機構が作成・公表している業務統計は新法移行以降のものです。つまり、2017年10月以前の数字は含まれていません。そこで、公表値に5分の12を乗じて2017年度通年の許可件数を推計しました。

2016年1号技能実習計画許可件数の推計

今知りたいのは2016年に実習を開始した人数です。対して機構が公表しているのは2017年11月以降のデータです。法務省の公表資料から技能実習1号ロで在留する外国人の数は2016年から2017年にかけて12パーセント増加しています。そこで、1.12で割ることにより2016年の数字を推計しました。

まとめ

2015年に技能実習を開始した実習生が技能実習2号を終えるタイミングで技能実習3号が導入されましたが、すぐに新制度を利用した(できた)のは約8%にすぎませんでした。

これにならえば、2016年に技能実習を開始した実習生が技能実習を2号を終えるタイミングで特定技能が導入されたわけですが、すぐに新制度を利用するであろう実習生の割合は同じくらい(10%程度)でしょう。

2016年に許可された技能実習1号の実習計画のうち、特定技能の対象となる特定産業分野にかかるものは約3万件と推計されますので、2019年度の元技能実習生に対する特定技能の在留資格変更許可・認定件数はざっくり3000件と予想します。

3号移行か特定技能かという選択肢が増えていることは等閑視しています。また、何年も前に帰国した元実習生も多いので彼らが再来日を希望すれば数字は上振れするかもしれません。

また、基になっているデータの集計単位がそろっていませんし、推論もおおざっぱという「アラ」の多い予想であることは自認していますが、何かのご参考になれば幸いです。

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