入管法

ざっくり理解「在留資格」とは

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在留資格とは

外国人が日本に在留し一定の活動を行うことのできる法的資格のことを「在留資格」(Status of residence)といいます。

通俗的には在留資格のことを「ビザ」と呼んでいます。厳密に言えばビザと在留資格は全く別物です。

何らかの「在留資格」に該当することの認定をあらかじめ受ける。→査証(ビザ)の発給を受ける→上陸許可時に「在留資格」と在留期間が決定される。というのが典型的な入国の流れになります。「ビザ」も「在留資格」も結局は日本に在留するために必要なものなので「日本に適法に在留するための法的な手続をとること」を単に「ビザを取る」と呼んでいるのです。

「ビザは外務省マターで在留資格は法務省マター。結局は両方必要(短期滞在でビザ免除というのはありますが)」と覚えておけば大まかな理解としてはOKです。

一在留一在留資格の原則

外国人が日本に定期法に在留するためには1個の在留資格が必要であり、また、複数の在留資格を持つことは許されません。これを一在留一在留資格の原則と呼んでいます。

日本人と結婚した外国人が「日本人の配偶者等」という在留資格で在留している間に大学に進学したとしても「留学」という在留資格を取る必要はありませんし、許されてもいません。

 

在留資格の分類

在留資格を理解するためには在留資格の種類とその在留資格で行うことのできる活動を知ることが肝要です。

在留資格にどのようなものがあり、それぞれの在留資格を持っている外国人にどのような活動が許されているのかは、入管法の別表をみると分かるようになっています。

ただ、率直に申し上げて非常に分かりにくいので、まずはそれぞれの在留資格の典型例をイメージできるようにするのがよいと思います。

別表第一の一

就労可能で上陸許可時に「基準適合性」という要件の求められない類型です。

基準適合性とは、「我が国の産業及び国民生活に与える影響その他の事情を勘案して法務省令で定める基準」(入管法7条1項2号)に適合することです。在留資格に該当するだけではなく一定の基準に適合することを上陸の要件とすることにより入国できる外国人に限定を加えるのが目的です。

別表第一の一の在留資格では基準適合性が求められないので、例えば「あなたは確かに大学教授かもしれないけれども実務経験年数が短いので入国は許可できません。」などということはありません。もちろん他の上陸拒否事由があれば別ですが。

在留資格名 典型例
外交 外交官
公用 公務員
教授 大学教授
芸術 音楽家、画家
宗教 僧侶
報道 記者

 

別表第一の二

就労可能で上陸許可時に基準適合性が求められる類型です。基準適合性が要求されるので、例えばサラリーマンであれば誰でも「技術・人文知識・国際業務」で入国できるとは限らないということになります。

在留資格名 典型例
高度専門職 エリート研究者、エリートビジネスマン
経営・管理 会社経営者
法律・会計業務 弁護士、公認会計士
医療 医師
研究 研究者
教育 高校の先生
技術・人文知識・国際業務 大卒のサラリーマン(事務職、研究職)、通訳
企業内転勤 海外支店の職員
介護 介護福祉士
興行 パフォーマー、プロスポーツ選手
技能 外国料理のコック
技能実習 技能実習生
特定技能 出稼ぎ労働者

 

別表第一の三

就労不能で基準適合性の求められない類型です。

在留資格名 典型例
文化活動 茶道教室の生徒
短期滞在 観光客

 

別表第一の四

就労不能で基準適合性の求められる類型です。

在留資格名 典型例
留学 留学生
研修 トレーニー
家族滞在 駐在員の家族

 

別表第一の五

法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動を行うことのできる在留資格です。要するに「その他」です。

在留資格名 典型例
特定活動 出国準備などいろいろ

別表第二

外国人の身分・地位に基づく在留資格なので「身分系就労資格」とも呼ばれます。「定住者」は法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者です。要するに「身分系在留資格の「その他」」です。

在留資格名 典型例
永住者 永住許可を受けた外国人
日本人の配偶者等 日本人の配偶者、子
永住者の配偶者等 永住許可を受けた外国人の配偶者、子
定住者 日本人の配偶者の連れ子、離婚した元日本人の配偶者、難民など

在留資格の基礎知識は以上になります。「資格外活動許可」「在留資格の変更」「在留資格の取消し」なども重要ですが別稿に譲ります。

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